森の市場だよりの第1回目は、「西川材の良さは美しさ」と話す山主であり、西川・森の市場の代表理事でもある井上淳治さんにお話を伺いました。
今の林業には、いかにコストを下げて、木材の価格を下げるかという効率優先の傾向がありますが、自分はそれだけでは林業が活性化するとは思いません。やはり、木材が適正価格で売れないと森林が循環していかないんです。
山側にいる者としてお客様にできることは何か。製材業者や設計士・工務店とも一緒に知恵を出し合い連携していく必要がある、と思ったことが、西川・森の市場に関わることになったきっかけです。
「木の家を建てたい人、木の家に関心を持っている人が抱えている問題を解決する」「家づくりをサポートする」ことで、人も森林も循環できる仕組みが作れると考えています。
家づくりの中に木材に関わる人を増やすには「木が見える家」を建ててもらわなければなりません。建て主に「この木は良いよね、だからこの価格は当然だな」と思ってもらえるようにする必要があります。そのためにまずは、木にこだわる人、木の良さを知っている人を増やしたい。そこで「木育」を始めました。
消費量そのものが減少しているなかで、木の良し悪し・違いを示すのは難しいですが、実際に木を見たり、木に触れたりする機会が増えれば、そのよさは実感できるようになると思って活動を続けています。
西川・森の市場に関わって思うことは、やっぱり大変だということ。「山は宝庫」と言われ「西川地域は都心に近い」という恵まれた条件もありますが、まだまだこういった条件を活かしきれていません。
お客様と接する機会はぐっと増えました。ですが、家を建てたい人や、その予備軍の人の中には、どこに相談にいけばよいのだろうと考えている人がまだまだいると思います。西川・森の市場を出会いの場にしていきたいですね。
今、「人と森林」「生活と木」これが互いに離れた関係にあると思います。昔は他に素材がなかったこともあり、両者が密接に関係していましたが、今は、木について普段意識することがほとんどありません。この関係を見直すことで、木も見直されると思います。私は「人と森林」「生活と木」のインタープリターを目指して、今できる自分の仕事を日々行っています。
会員名 | 井上 淳治(代表理事) |
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プロフィール | 1960年3月8日生まれ。西川林業地の林業経営者(10代目)。経営面積は80ha。奈良県の製材工場での製材見習いを経て、1984年4月から家業の林業に従事。1997年7月、きまま工房「木楽里」を開設、現在に至る。 かつては小中学生を対象にした林業体験ボランティアに没頭。今では未就学児も対象にして森林・林業・西川材の魅力を伝える活動を展開し、「とっつぁん」の愛称で子どもたちから親しまれている。 趣味は登山。2010年9月には、50歳を記念して北アルプスを焼岳から日本海親不知まで大縦走(14日間)した。 |